“未来のエネルギー”に未来はあるのか?
— 日経サイエンス (@NikkeiScience) June 24, 2023
「『地上の太陽』はいつ昇る? 小さな一歩と大きな課題」
日経サイエンス2023年8月号【特集:核融合の現在地】https://t.co/n528g1y9fw #エネルギー
この記事を訳して思い出したあれこれ。
私が核融合について初めてきちんと知ったのは遅く、20数年前に就職した直後です。文科省傘下の某独立行政法人(当時は科技庁傘下の特殊法人でしたが)で、科学論文をデータベース化する部署に配属され、物理学部門のプラズマ担当として、核融合の論文も扱うことになりました。
大学院ではオーロラの研究室にいて、ざっくりいえば宇宙空間のプラズマや電磁気に関係する勉強をしてました。それで上司が「ならば核融合もプラズマとか電磁気の話だから大丈夫だよね」と思ったのではないかと推測しているのですが、宇宙プラズマと核融合プラズマは世界が全然違います。そもそも、私は「とかまく?それは何ですか?」という状態だったので、大胆な人事をしたものだと思います。そこから数年、自分でもがんばって勉強し、先輩職員にも聞き、必死で論文を読んでいた記憶があります。
その後、フリーランス翻訳者になって『太陽を創った少年』を訳したとき、そのときの経験が役に立ちました。この本は、14歳で核融合炉を作った天才科学少年テイラー・ウィルソンを追ったノンフィクション。ただ彼の核融合炉はフューザーというタイプで、発電用ではなく、中性子の発生源として使われるものでした。
最近の核融合発電をめぐっては、なかなか前進しないITERなどの国際大型プロジェクトとは別に、スタートアップ企業などによる小型核融合炉開発のニュースをよく耳にするようになりました。今回の記事には、これまでの取り組みの経緯やいろいろな核融合炉設計の比較とともに、気候変動が進むスピードに核融合発電の実現が間に合うのかどうか、というタイムラインについての話もあります。